今回の内容は、先日講演会で聴いた、放送大学岡山学習センター客員教員、岩佐和典先生の「不安障害と臨床心理学」というお話の紹介です。
まず、不安障害とは何か、から。
一言でいえば、不安で障害が出ることです(当たり前っぽくて恐縮です)。
では、不安とは?
感情の中の一つですね(またも当たり前)。
不安は、今現在あるのではなく、将来起こると予想される事に対する恐怖です。
例として、私たち引っ込み思案な人が、知人の結婚式に出席し、スピーチをするために順番を待っている時を考えてみましょう。
座って、食事をしたりお酒を飲んだりしながらも、頭の中は自分のスピーチのことで一杯です。
(スピーチの最中で詰まってしまったらどうしよう?)
(あれ?新婦の名前は何だったっけ?前の彼女の名前を言ったらまずいな・・・)
(トイレに行きたい!!スピーチ中におしっこもらしたらどうしよう?)
と、余計な事をいろいろ考えてしまう訳です。
で、そうした不安な気持ちが生じると、体に表れてきます。
胃がきりきりと痛んだり、喉がからからになったり。
そして、胃が痛くなりすぎてどうにも我慢できなくなり、途中で退席してしまって肝心のスピーチが出来なくなった・・・
と、ここまでくると、不安障害となります。
こうした不安障害にかかる人は、だいたい25%くらいいるそうです。
25%といえば、4人に1人。意外と多いですね。
考えてみれば、私も思い当たるふしがあります。
私の場合は、人前で話す前に喉がつまるような感覚が生じます。
で、そのためにさかんにつばを飲み込み、そうするとさらにその感覚が強くなって、本番には声が出なくなります。
もっとも、最近はこれにだいぶ適応してきました。
すなわち、喉がつまる感覚が生じてもそのまま我慢して、とりあえずやり過ごせています。
が、不意打ちで急にしゃべらなければならない時などは、無意識にさかんにつばを飲み込み、アウト、となることもあります。
で、このような不安障害ですが、自分の経験で言えば、知識を持っているかどうかで、だいぶ違うような気がします。
私の例をインターネットで調べてみると、不安障害による咽喉頭異常感症、というのに相当するようです。
名前がつくと、何となくわかった気になるから不思議です。
そして、わかった気になると、恐怖の中の未知の部分が少し減ることにより、不安も少し減る気がします。
実際には、わかった気がするのはごく最近なので、実際に程度が軽くなるかどうかわかりませんが。
あと、不安そのものについては、不安曲線と概念を知るのもよいかもしれません。
あることがを不安に感じ始めると、その不安は時間とともにどんどん大きくなっていきますが、その後ピークを迎え、そして低下していきます。
色んな条件にもよりますが、不安がほぼ収まるまでざっと一時間程度。
従って、そのくらい耐えればよいのです。
ですが、不安障害の人は、不安が大きくなる途中で耐えられなくなり、回避行動(私の場合は、声がでないように喉の感覚を
おかしくする)をとるのです。
でも、その回避行動をとらないとどうなるか?
まあ、別になんともならないでしょう。
スピーチが多少うまくいったとか、いかなかった、くらいはあるでしょうが、それだけのことです。
観客は、どうせほとんど聞いていません。
例え、聞いていて下手だと思われても、面と向かって嘲笑されたり、ののしられたりすることはまずありません。
それに、人のことなどすぐに忘れてしまうでしょう。
つまり、不安になるように想像した内容が外れた訳です。
このような経験を繰り返していくと、不安そのものに慣れていき、最後には障害が取り除かれます。
これを認知行動療法といい、不安障害には強い効果を持つことが知られています。
ちなみに、前回あとがきで紹介した看護教諭も、この認知行動療法で快癒した、ということです。
その先生はあるきっかけで、強迫観念にとらわれ、一日6時間以上も手洗いして日常生活に支障を来すようになりました。
そして、病院に行って治療として、色んなものを触った後に手洗いをせず、そのときの不安と苦痛に徐々に慣れる訓練を行いました。
そして、手洗いをしない状態を徐々に長くして、最後には快癒したそうです。
以上は、不安障害の話でしたが、これは障害まではいかない、普通の不安な状態でも同じことです。
不安になっても、おそれず思い切って飛び込めば、杞憂に過ぎないことが実感できるでしょう。
引っ込み思案なあなたは、色んな事に対して不安に思う気持ちが人一倍強いかもしれません。
でも不安を持つという事は、言い換えれば、将来自分の手で解決すべき未来が待っているということです。
この状態は、よく見てみると、希望を持っている状態と同じです。
つまり、不安と希望は表裏一体。
不安におののくあなたは、実は希望が胸一杯に詰まった人でもあるわけです。
あなたは、不安を克服する方法を知りました。
あとは希望を胸に、一歩を踏み出すだけです。
一緒に、歩み出しましょう!
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