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2013年8月4日日曜日
対話による問題解消
以前、組織が変わる対話の場づくりという講演会の内容をご報告しました。
とても面白かったので、今回もこれについての話題です。
まず、考え方の基本として、問題を抱えている人は多くの場合、その問題を解決しようとしますが、そうではなく、問題を解消するというスタンスで取り組むのが有効だそうです。
これはナラティブ・アプローチと言う手法に由来しています。
ナラティブとは物語と言う意味です。
そして、ナラティブアプローチとは、対話を通じて自分の問題やマイナスの出来事を物語として語ることにより、その問題の意味づけをかえて行く手法です。
それでは、ある人の事例をもとに、対話の方法を説明してみます。
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上司はコミニュケーション、コミニュケーションとよく言うが、本気で部下とコミュニケーションをとりたいのか、といぶかしく思う。
自分の所属部署の担当役員が、一般社員全員と面談するという企画を思いつき、自分も出席した。
面談は数人ずつで行い、最初に役員が仕事の心得のようなことについて30分近くほぼ一人でしゃべっていた。
そのあと、適当に一人を名指しして、お前はどう思う?という感じで順番に質問された。
最初に当たった人は無難にこなしましたが、そのうち役員の考えと違う意見が出ると、突如その役員は牙をむき出しました。
猛烈な勢いで議論をふきかける。
意見を言った人は黙り込んでしまい、そのあとの人は付和雷同的な意見ばかりいうようになった。
あとで聞いたところ、その役員はあまり下の人の意見が聞けなかったと不満をもらしていたとのこと。
偉くなると、そんなことも分からなくなるのかと思う。
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実はこれは、何年か前に私が書いたブログの内容を少し書き直したものです。
この文章では、「私は・・・」と自分が主語になっているものがありません。
他律的です。
だいたい、話の最初はこんな風に自分が被害者のストーリーが語られることが多いようです。
役員が悪いからコミュニケーションが取れないというような・・・
これを、フォローする人が質問することを通じて問題をほぐしていきます。
その際の注意点として、質問者は相手のキーワードに注意してその話題を広げることと、本人が気持ちの上でどう捉えているかを聞くことに留意します。
例えば
「あなたにとって、コミュニケーションって何?」
「あなたは面談の時、どんな気持ちになった?」
「もし、その役員に本音で何か言うとしたら、どう言いたい?」
等々・・・
そして、一通り質問した後、質問者の印象を話します。
「私には、本当はあなたがその役員に自分の話を聞いてもらいたいと願っているように思う」
「あなたは役員や上司の一言一言で右往左往させられるのが我慢できないと感じているようだ」
といった具合です。
そんなふうに会話をしていくことを通じて、その人を主語にしてストーリーを語りなおされていきます。
そして、それにより、その人が自分自身を相対的に捉えられるようになります。
そして、新しい発見が起こります。
すなわち、今までの被害者の立場で語られていたストーリーが、変わってきます。
「今まで自分が文句ばっかり言っていることに気付いた」
「ずっと自分一人で悩んできた、でも自分の問題は自分だけの問題ではなかった」
・・・
こんな風に、自分自身が主人公のストーリーが出来てきます。
そして、くじけていた心が再び立ち直るきっかけとなります。
これが、「問題を解決する」のではなく、「問題を解消すること」の意味です。
コーチングの本質的な話にも通じていて、とても勉強になりました。
参考にした本
加藤雅則 自分を立てなおす対話 日本経済新聞出版社
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